三重県の桑名市というところに小2から高校を卒業するまで住んでいました。今は両親もとうに亡くなり、帰る家もなくなったので、桑名市に隣接している他の町に住んでもう四半世紀にもなります。
まあ距離的には近いので桑名市にはよく行くのですが、今日は義母の知り合いから桑名名物・安永餅を頂いたので、少し懐かしくなってこれを書いています。
桑名というのは浮世絵の東海道五拾三次にも描かれる、かつて賑わっていた東海道の宿場町である。焼き蛤が有名ではあるが・・・
桑名は伊勢国の入り口で、尾張国の熱田からは船の旅、七里の渡しといって名所にもなっている。十返舎一九「東海道中膝栗毛」の中にも弥次喜多さんの船旅の様子が描かれていますよね。伊勢国一の鳥居をくぐれば、そこは伊勢の国。憧れのお伊勢参りまであと少し、旅人の心も宿場町桑名できっと浮き浮きしていたことでしょう。
それに比べて、現在の桑名はびっくりするほど寂れ、廃れています。子供の頃によく遊んだ商店街も、ほとんどシャッターに閉ざされ、人の気配がありません。
まあ、いずれまた桑名で撮影などをした時に書きたいと思いますが、元・市民としては、今の寂れっぷりが残念でなりません。
また今年のNHK大河ドラマ「どうする家康」で徳川四天王の一人であり、山田裕貴さん演じる武闘派戦国武将、本田忠勝が桑名藩の初代藩主であることは桑名市民には意外なほど知られていませんでした。このこともまた別の機会にとっておくことにしましょう。
さて今回は安永餅の話でしたね。
こんな感じで個包装されていて、お土産としてもらうなら赤福よりこっち。
中に餡の入った細長い餅、安永餅は桑名名物として古くから食されている和菓子です。細くて食べやすく、上新粉がまぶしてあって手にしてもベタベタしないし、日持ちせずすぐに固くなってしまうけど、少し火で炙るとまた柔らかく、さらに香ばしくなるという、桑名名物の中で私はこれが一番好きかな。桑名といえば焼き蛤が有名ですが、気軽に食べられる店は案外少なかったりします。国産蛤は今では高級食材ですからね。
添加物もないのですぐに固くなります。それにしても10本入りは間違いだろう、どう見てもその倍は入っている。
表面に粉がまぶしてあって、手を汚さない。おかげ参りの人々は食べ歩きなどしていたのかもしれません。
ということで、仕事に戻ったのでなかなか撮影に行けませんが、繁栄していた桑名で少年時代を過ごした私は、もう少し何とかならなかったのかなぁ、といつも残念に思うのです。
せっかく大河ドラマで本多忠勝が活躍してるのに、何のキャンペーンもイベントもやらない桑名市の行政、及び商工会には猛省していただきたい。
元桑名市民は本当に怒っているぞ。