仕事に行っている間は忙しくてMacの使い方などを調べる暇がありません。帰ってから色々とやってみようとするんだけど、正直何から始めたら良いのかわからない。まあ、ウィンドウズPCとiPhone、iPadは使っていたけど、これらのどれとも似ているところもあるけど違う。使い方がいまいちわからない、という感覚がすごく懐かしい、パソコン黎明期の記憶を呼び起こしてくれた。
こたつの上での大きさにはだいぶ慣れてきました。21.5インチにしておいて良かった…
少し昔話をしますと、パーソナルコンピューターが一般に広まり始めたのはちょうど私が就職して間もない30数年前で、NECのPC9800シリーズというのが当時の主流でした。新しいもの好きの私はなんとか自分のパソコンを手に入れて、インターネットというものをやってみたい。と思って、名古屋・大須アメ横ビルの怪しいパーツ屋で中古、当時としては破格の8万円で買ったのは「98キャンビー」と呼ばれる、一体型のパソコンだった。OSは昔懐かしいWindows 3.1。若い人は知らないでしょ?Windows95が出る前の、いわゆる「擬似マルチタスク」と呼ばれていたOSだった。キャンビーそのものはビジネス用途のPCとは違って、テレビのチューナーがついていたり、Qハチ君という蜂のキャラクターが出てきたりと、現代に通じるコンセプトでなかなか楽しいPCという位置付けだった記憶。
Amazonミュージックは使えるようになった。スピーカー内蔵なので楽ちん。
パソコンショップはタバコの煙が充満し、常連が集うマニアの世界。恐る恐る敷居をまたぎ、怖そうな店主に「インターネットをやりたい」と言ったら、こんな安物じゃ(中古で最低でも十万近くしたのだが、新製品はその3倍はした)インターネットは無理だと言われた記憶がある。民間ではインターネットはまだ最先端の技術で、それまではごく一部の理系のオタク的な人々が「パソコン通信」という閉鎖的なコミュニティで密かに楽しんでいた時代だった。回線はまだ有線LANすらなく、NTTの電話回線を「モデム」という装置につないで、なんとかインターネットに繋がる。難しいしお金もかかるけど、未知の世界にアクセスするというドキドキ感がたまらなかった。今みたいにパソコンを買ってきたらすぐにネットに繋がる、なんてものではなく、インターネットをやりたい人は有料のブラウザソフトと、「ただ接続するためだけ」のソフトを別に購入しなければならなかった。接続用のソフトとして私が買ったのは、その店で一番安かった「Trumpet winsock」というもの。ブラウザは「モザイク」とかなんとかいう名前の、これまた店で一番安かった無名のブラウザだったが、そういうところがいかにも私らしい。それぞれ立派なパッケージに入っていて数千円〜一万円ぐらい?だったと思う。
スクリーンショットの撮り方を覚えたぞ。これ便利だなぁ(Windowsでもできたんだろうけど)。
細かいことは忘れてしまったが、今から思うと「ブラウザが有料」「ブラウザとは別に接続用のソフトが必須」というあたり信じられないほど今と違っていた。ちなみに当時主流のブラウザは「ネットスケープナビゲーター」というソフトで、船の舵のようなマークが特徴だったもの。インターネットエクスプローラーはまだ出たてのマイノリティだったのだが、私が2台目のPCを買う頃にはブラウザソフトは付属するようになり、ネットスケープかエクスプローラーかを店頭で選べるようになったりしていた。富士通のFMVなんかも人気で、98シリーズ一強だったのがCOMPAQのIBM-PC互換機なんていう現在のウィンドウズPCに近いものが台頭してきた頃でもあったな。
まもなく全てのブラウザソフトを駆逐して、マイクロソフト一強の時代になっていくのだった。Apple信者のような人もすでに存在していたが、何しろ高いのでブルジョアのもの、という感じだったし第一、田舎では売ってる店がなかった…
検索すると今でも出てくる98キャンビー。オールインワン型のはしりみたいなもので、結講人気があったようだ。そのフォルムは今にして思えば昔のマッキントッシュのパクリ的な感じもするが。
ともあれお金のない若い私も、中古でも最も安い部類の「キャンビー」を購入して、丸々一日苦心の末めでたくインターネットに接続することができたのだった。早速、職場で唯一インターネットを始めていた先輩の、あらかじめ聞いていたメールアドレスに報告のメールを送信した。ほどなく「開通おめでとうございます」と返信があったことを鮮明に覚えている。インターネットが「開通」そんな時代だったのです。
今回こんな昔話を思い出したのはこの歳になって初めてMacを使うようになったからなのですが、先ほど書いた先輩が使っていたのは、紛れもないアップルコンピューター(機種は聞かなかったのでわからない)だったのである。その先輩は芸術家で、絵画を描いて個展を開いたりするアーティストだったので、当時からMacはかっこいいものだと(値段も凄かったが)思っていたものだ。
こんなかっこいいパソコンがあるなんて知らなかった当時の私。どうせ買えないから興味もなかったのかな。
とりとめもなく長くなってしまいましたが、そのMacの、最新型ではないものの上級機種が今手元にあるなんて、ほんと夢のような話です。
ケチらないでもう少し新しいのを買えば良かったかな、と少し後悔もあるのですが、しばらくは最近忘れていたコンピュータへの新鮮な感覚を味わいたいと思っています。